古美術用語詳細

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古九谷

古九谷の産地には諸説ありますが、17世紀中頃に始まり、その後、 数十年間のみに焼かれた伊万里焼や九谷焼の色絵磁器の初期のものを 古九谷様式と総称しています。

伊万里焼の生産は、17世紀初頭に朝鮮半島から陶磁器の技術が伝来したことにより始まりました。最初の頃は上絵付けはできませんでしたが、17世紀中頃には技術の向上によってそれが可能となりました。この時期に作られた初期の上絵付け磁器が、まとめて「古九谷様式」と呼ばれています。

古九谷の絵付けは、当時日本に多く輸入されていた中国・景徳鎮窯の南京赤絵や、漳州窯の呉須赤絵の影響を受けています。また、日本国内では狩野派を中心に、土佐派や大和絵的な装飾画風などの影響も見られます。

古九谷様式の磁器は基本的に日本国内向けに作られたもので、主に大名の屋敷で宴の際の食器として使われました。17世紀後半に入ると、有田では次第に輸出を重視するようになり、やがて「柿右衛門様式」へと移行していきました。