初期伊万里
1600年代初頭に日本で初めて作られたとされる磁器であり、その発祥は伊万里地方にあります。
後の磁器製作技法とは異なり、初期伊万里では「生掛け(なまがけ)」と呼ばれる技法が用いられており、素焼きをせずにそのまま釉薬をかけて本焼きを行っていました。そのため、作品には温かみがあり、しっとりとした柔らかな風合いが生まれています。
素地や染付の色味が不安定であったり、発色にムラが見られたりすることは、当時の技術がまだ発展途上であったことを示していますが、そうした不完全さこそが、初期伊万里の魅力ともなっています。
初期伊万里の製作技術は、当時の中国磁器の影響を強く受けていました。中国は当時、ヨーロッパや日本に陶磁器を大量に輸出しており、その技術は非常に高度でした。初期伊万里には、そうした中国陶磁への憧れや敬意が込められていたとも言えるでしょう。