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薩摩焼

薩摩焼は、鹿児島県で生産される陶磁器の総称です。ただし、より限定的には、豪華な装飾が施された「薩摩錦手(さつまにしきで)」を指して「薩摩焼」と呼ぶ場合もあります。

薩摩焼は、窯の場所によって分類されており、古帖佐(こちょうさ)・串木野(くしきの)・苗代川(なえしろがわ)・平佐(ひらさ)など、様々な窯が創設され、時代とともに廃絶していきました。

 

薩摩焼の起源は、文禄・慶長の役(1592~1598年)に遡ります。当時、薩摩藩主の島津義弘が朝鮮に出兵し、1595年(文禄4年)、陶工として高い技術を持つ朝鮮人を連れ帰り、薩摩の地に窯を開かせたのが始まりです。

その後、1614年(慶長19年)には朴平意(ぼくへいい)が白土を発見し、「白薩摩(しろさつま)」の制作が始まりました。

さらに1648年(慶安元年)、有村碗右衛門(ありむら わんえもん)が京都の御室窯(おむろがま)から純日本風の絵付け技法を取り入れ、「薩摩錦手」が誕生しました。

 

薩摩焼は大きく分けて「白薩摩」と「黒薩摩」があり、特に白薩摩は島津藩の調度品として使用され、藩の管理する窯以外での製造や販売は厳しく禁じられていました。これらは「献上薩摩」と呼ばれます。

1958年以降、薩摩焼は約400年の歴史を持つ伝統工芸品として認知され、江戸時代末期には、それまでの白薩摩に金襴手の技法が考案されました。以降、この技法は改良が加えられ、豪華な金高盛(きんたかもり)の絵付けとして発展し、色絵師が一つの作品を数か月かけて仕上げると言われるほどの精緻な芸術品となりました。